
脂肪吸引の魅力は、1日で痩身効果が実感できることです。ところでこの効果は、実際にはどれぐらいの期間持続させることができるのか、気になったことはありませんか? クリニックが提示する症例写真では、通常、ダウンタイムが落ち着く術後半年と術前の比較が用いられるのですが、仮にこれが年単位の長いスパンだとどうなるのかということです。今回は、そうした例をお示しようと思います。
「脂肪吸引の術後は太りにくくなる」は本当
脂肪吸引を検討されている方なら、「術後は太りにくくなる」という話を耳にされたことがあるかと思いますが、それは真実です。
通常、成人の脂肪細胞の数は変化しません。「太る」という現象は、脂肪細胞の数が増えることを意味するのではなく、保有している脂肪細胞が大きくなった結果です。脂肪吸引は、この脂肪細胞を物理的に取り除く行為なので、術後は確実に脂肪数が減少します。数が減る分、それぞれの脂肪が大きくなっても、術前ほど太ったと感じにくいのです。

脂肪吸引後に太ってしまうのはどんな時?
よく「脂肪吸引を受けた箇所は絶対に太らない」と誤解されるのですが、これは間違いです。術後に過度なカロリー摂取が継続されると、当然残された脂肪細胞は大きくなり、手術直後の格好いいプロポーションが損なわれるということはあり得ます。脂肪吸引は、過去の不摂生は清算できるかもしれませんが、将来の不摂生まで保証するものではないということは覚えておいてください。
脂肪吸引の効果を長く持続するには?
脂肪吸引の効果を長く維持しようとするなら、術後は不摂生を避け、できれば適度な運動習慣を身に付けるようにすることをお勧めします。しかし、こんな風に思われる方もいらっしゃるかもしれません。「運動や食事制限が嫌だから脂肪吸引を受けたのに、結局そこからは逃れられないの?」と。
確かにそうかもしれませんが、これまでに数多くの脂肪吸引を扱ってきた経験から断言できるのは、満足のいく脂肪吸引を受けられた皆さんは、多くの場合、体型維持に対する意識が大きく変わるということです。理想通りの美しく引き締まった身体を手に入れた経験があると、これを何とか維持したいという良い意味での欲が出てくるのだと思います。今まで運動習慣が身に付かなかったという方が、術後にせっせとジム通いを続けているという例は少なくありません。
術後に効果を長く持続させることができるかどうかを左右するのは、結局は満足のいく施術が受けられるかどうかであり、つまりは術前のクリニック選びが肝心なのだと考えています。
脂肪吸引後、2年半が経過した症例
最後に、当院で脂肪吸引を受けてくださった方で、術後数年が経過した方々のお写真をお示ししたいと思います。

↑こちらはお腹の脂肪吸引から2年半が経過した症例です。当時ベイザー4Dスカルプトという施術を行ってシックスパックを作ったのですが、今でもそれは健在です。2年半ぶりに来院くださったのは、胸部や二の腕のボディデザインを受けたいとのご要望のためでした。

↑こちらはもう少し長く、脂肪吸引から5年が経過した方です(左が術前で、右が術後5年)。この方は、腰回りをさらに引き締めたいというご要望でした。十分引き締まっているように見えますが、理想の肉体が手に入ったことで、美意識に拍車がかかったようです。
私たちの役目は、自分たちの持てる技術を駆使して理想の仕上がりをご提供することと、それによってご自分の身体を好きになっていただくこと。そうすれば、術後の身体を維持しようというモチベーションが生まれるからです。そうなったら、後は皆さんの協力も欠かせません。私たち美容外科医と二人三脚で、脂肪吸引の効果を末長く維持させましょう。
まとめ
- 脂肪吸引後、その部位が太りにくくなるのは事実
- ただし不摂生をすれば、リバウンドすることはあり得る
- 脂肪吸引の効果を長く維持するには、手術直後の美意識を維持し続けることが重要