今回ご紹介するのは、女性化乳房の再手術に訪れた症例です。他院で女性化乳房の治療を受けたものの、十分に脂肪が取り切れていなかったようで、結構膨らみが目立っています。手術に使用する機材や術後の傷の様子など、普段はなかなか紹介しきれない細かな部分までお見せいたします。
この方は偽性女性化乳房がメインなのですが、若干乳腺も残っていらっしゃいます。他院で女性化乳房の治療経験があるとのことなのですが、結構脂肪が残っていました。
手術では、この脂肪をキレイに取り除くと同時に、わずかに残った乳腺も最小限の傷跡で除去する予定です。
偽性女性化乳房と真性女性化乳房
女性化乳房には、脂肪の蓄積が原因の偽性女性化乳房と、乳腺の発達が原因の真性女性化乳房、さらにこの両者を合併する混合型女性化乳房があります。
この方は偽性女性化乳房寄りの混合型です。
前回の女性化乳房治療で残った傷跡
前回の手術では、乳輪の淵に沿って結構大きな傷が残っていましたが、今回2回目ということで、また同じ傷を開くことは避けたいとのご要望をいただきました。そこで、乳頭直下を数ミリだけ傷つけ、そこから乳腺を取り出すことに。脂肪吸引は、わきの下から行いました。
脂肪吸引の手順と、女性化乳房治療でよく用いる機材
まず一番上の機材でベイザー波を照射して、脂肪を柔らかくします。その後、普通はベントX(エックス)というカニューレ(一番下)で吸引するのですが、今回は線維質が多い組織を吸引することになるので、パワーX(真ん中)という機材を使います。このパワーX、先端が電動で回転する仕組みになっているのですが、女性化乳房患者さんの乳腺組織周辺の他には、背中の脂肪吸引でも使用するものです。とにかく硬い組織の吸引に適しています。
女性化乳房手術の直後の様子
術後の様子です。脂肪はほとんどなく、乳腺もキレイに取り除きました。むくみが取れてきたら、大胸筋のラインがきれいに出てくることでしょう。
乳腺摘出に伴う傷跡です。乳輪の淵に沿ってやや盛り上がっているのが前回の手術でできた傷。今回の手術でできた傷は、乳頭直下の赤黒くなっている数ミリの部分です。ほとんど目立たないと言って良いでしょう。
※上記内容を動画でもご覧いただけます。
まとめ
- 当院の女性化乳房外来では、他院の失敗や再手術も受け入れ可能
- 女性化乳房の胸部や背中など、比較的硬く線維質な脂肪を指揮の吸引には、パワーXという特殊なアタッチメントを使用する
- 女性化乳房の脂肪吸引では、残らずしっかり脂肪を吸引することを。乳腺切除では傷跡を最小限に抑えることに注力する